組合長挨拶

組合長からのご挨拶

戦後の造林ブームと言われた約20年間、先人の汗と努力で広大な人工林が造成されました。私ども森林組合はこれを主導し、合併後も森林の成長と共に林業振興のために必要な多くの事業を展開してまいりました。50年が過ぎ、いよいよ森も熟成期を迎えた平成21年には、伐出された木材に付加価値をつけるための全国屈指の能力を有する大型製材工場を稼働させ、この工場経営を危ぶむ多くの声をよそに、様々な大きな壁を乗り越えながら稼働直後からしっかりと軌道に乗せ、特に新型コロナ禍の第2次ウッドショック以降は想定外の実績を上げ、この工場を核として地域林業に貢献出来る基盤がさらに充実してまいりました。

さて、リーマンショックの大不況の最中に大型工場が稼働し木材価格の暴落、直後には新政権の誕生、即打ち出された政策「森林林業再生プラン」内容は間伐ありきです。当地域の森林林業振興のために果たしてそれでいいのか? 熟慮を重ねた結果、佐伯には佐伯なりの林業があるべきで、当組合の方向性として打ち出した答えが、50年を周期に伐採し、付加価値を付けて売り、伐った跡は必ず植える、これを「佐伯型循環林業」と称して推進し、現在ではしっかりと軌道に乗り、高い再造林率を誇り、各方面からの視察も数多(あまた)であります。本来の林業のあるべき姿が全国的に普及できれば、私にとってこの上ない喜びでもあります。

また、林業が過去半世紀以上に亘って政界からも経済界からも置き去りにされたとしか言いようのない不況の中、森林所有者はすでにあきらめの境地にあり、さらに世代交代が進むとますますこれが顕著化し大切な森林が護れなくなります。将来に亘ってしっかりした森林組合の体制の下で、伐ったら必ず植えることが組合員にとっても地域の生活環境保全のためにも大切な課題となります。そのためには、森林経営の権利を長期に亘って森林組合が受託し、組合員に代わって管理することが必要であります。当然、伐採した木材は経費を差し引いた売り上げ分が組合員の収入となり、山林の後継問題に悩む皆様にとっても有効な手段であると信じ、この取り組みを推進してまいります。当組合は佐伯の林業の歴史とともに歩んできました。引き続き組合員の皆様と森林経営を通して連携しながら佐伯林業の歴史を積み重ね続けなければなりません。

驚異的な気候変動や地殻変動、また混乱する内外情勢など実に多くの厳しい課題を抱えた世の中ではありますが、当組合は森林組合としての役割をしっかり果たせるよう引き続き努力を重ねてまいります。

佐伯広域森林組合
代表理事組合長 戸 髙 壽 生

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