組合長挨拶

組合長からのご挨拶

 「森林・林業・再生プラン」が施行されて10有余年が過ぎました。当時、当森林組合は地域の林業の発展を期して、全国屈指の規模を誇る国産材製材工場を稼働させたばかりで、この政策の検討が進められるのと並行して、当地域の林業はどうあるべきかを検証・模索しその方向性を定めました。“最も組合員(森林所有者)に有利に収入をもたらしてくれると推定される50年を適正伐期と定め、大型工場を活用して付加価値をつけて販売し、伐採跡地は適地適木を基本として必ず再造林をする“という方針で「佐伯型循環林業」を提唱し推進してきました。先人の残した大切な遺産である森林を、資源(木材)と公益的機能の両面から持続可能な状態で次代に繋げることによって、森林所有者にも地域社会にも貢献し、さらに森林組合の経営力のアップのために‘かくあるべし’との思いで職員と共に多くの大きな課題を乗り越え、これを推進しながら今日に至りました。当組合では「佐伯型循環林業」が当然の佐伯(地域)林業の在り方として定着しています。

 この考え方の基礎となったのは、嘗て燃料林として活用されてきた広葉樹(天然林)を、戦後の造林ブームの時期、森林組合(当組合の前身の6組合)が主導し、林家の汗と努力、また木材価格の好調さにも後押しされて造成された広大な人工林あっての現在の佐伯林業であり当森林組合です。先人先輩への感謝の気持ちでこれを受け継ぎ、どう未来に繋げるかということがまず1点目。 私自身が山林経営の後継者として“林業を志すとはどういうことか”、幼少期よりの父の教えにより身をもって体得し、若い頃の全国林業地行脚や林業グループ活動などで学び培った林業への熱い思いが2点目。

 乱伐・荒廃して大切さに気付き反省して再生するという「乱伐・荒廃・再生」が繰り返されてきた日本の林業の歴史があります。江戸時代には「留山」や「諸国山川掟」など厳しい掟で森林を護り、また土砂の流失を防ぐための植林活動も盛んにおこなわれ、文明開化の明治初期には海外諸国より”日本は素晴らしいみどりの国と評された“と歴史書にあります。古来より燃料や建造物などの資源としての木材と災害防止や水源涵養などの森林の持つ公益的機能の大切さがわかっていたのだろうと推測します。残念なことに、明治から昭和にかけての相次ぐ戦争、さらに戦後の復興のために乱伐され、森林はその機能が大きく低下しました。そして、国の拡大造林政策と木質から化石への燃料革命による「戦後の造林ブーム」です。1970年代終盤より外材輸入の増大やコンクリート・鉄骨の台頭等で国産材価格は低迷の一途をたどり、森林所有者は林業に対する意欲を完全に失い、大切な森林を護るにはどうするかが3点目。

 人も、水も、空気も地球上のあらゆるものが循環することで成り立っています。森林も例外ではなく、伐ったら必ず植え循環させることが必須要件となります。掲げた3点が当組合の森林・林業(佐伯型循環林業)の考え方の基となっています。

佐伯広域森林組合
代表理事組合長 戸 髙 壽 生

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