組合長挨拶

組合長からのご挨拶

新型コロナウイルス感染症も5類に移行されましたが、引き続き感染拡大が懸念される中にも、ひとまず私たちの生活も社会経済活動も落ち着きを取り戻してまいりました。本年度は、4年ぶりにコロナ禍以前に戻っての第34回通常総代会を盛会裡に開催することができました。

一昨年度(令和3年度)はコロナ禍転じてのウッドショックによる木材価格の高騰があり、業界全体が潤ったのは記憶に新しいところでありますが、令和4年度もその名残りで前年とまでとはいかないまでも予想以上の成果を残すことができました。

嘗ての戦後の拡大造林の時代に、先人が汗と努力で残してくれた広大な人工林をバックボーンに、一貫して推進してきた「佐伯型循環林業」も、稼働して十五年目を迎えた大型製材工場を核として大きく進展し、「伐って・使って・植えて育てる」の三位一体の能力が着実に備わったことで、降ってわいたようなウッドショック(木材不足)に即対応できた結果でもあり、さらに森林が循環することによる資源と公益性の確保充実が大きく次世代へと繋がるものと確信を深めているところでもあります。

さて、建築基準法による木材の強度規制や量産型製材工場の普及により大径材の需要が低迷し、もはや大きい木は安い、売りづらいという大きな課題に直面しており、その打開策の検討を進めてまいりましたが、その答えとして、住宅着工の低迷の中にあっても今後引き続き需要が見込まれるツーバイフォー(米国型戸建て住宅)を基本とした製材加工を目指すこととし、すでに供給先のウイング㊑(東京都千代田区)との間で、当市市長並びにお世話いただいたウッドステーション㊑(千葉県千葉市)が立ち合いのもと、供給量と再造林費用も視野に入れた価格まで含めた協定書の締結も済ませており、大径材流通対策に全力を傾注して参る所存であります。

また森林整備部門では、顕著になった地球規模での温暖化による気象害に対応するため、我が国においてもカーボンニュートラルが提唱され、二酸化炭素を吸収する森林の役割がJクレジットとして、民間企業より森林整備の財源がもたらされ、対象森林のCO2吸収量が把握でき次第取引が開始されます。

一方では、相続発生後2年以内の山林(固定資産)の相続登記が義務化(過料が発生)されました。要らないからと言って国に帰属すれば向こう10年間分の管理料を支払うことになります。地域の林業にとって、また経営意欲を失った森林所有者にとって、この制度が今後さらに重くのしかかってまいります。この対応については、令和2年に制定された「森林経営管理制度」を活用することが解決に繋がり、組合員(=森林所有者)にとっては安心して森林の相続・所有が出来ることになり、地域の森林も適切に管理され活性化に繋がります。ただし、この制度は市が森林経営管理権を受託し、当組合が再受託の上経営管理するということであり、市の対応が必須となります。ご理解をいただきながら森林組合としての役割を充分に果たせるよう努力してまいる所存であります。

社会情勢の変革に伴い、森林・林業分野においても法の改正や新しい制度・政策などが次々に打ち出されておりますが、地域の健全な森林経営管理のためにしっかり対応してまいります。

佐伯広域森林組合
代表理事組合長 戸 髙 壽 生

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